人生丸ゴト握ッテ回ス (野口武彦著作データ)

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2004-11-13太平の構図

[][]基本情報

Title
太平の構図(日本文明史 第6巻)
発行日
1990/12/20
出版社
角川書店
ISBN
4045217061

太平の構図 文明の成熟 (日本文明史)

[][]目次

プロローグ ―近世日本と徳川国家

第一章 凍結された軍陣 ―関ヶ原合戦から鎖国まで

  • 一 関ヶ原合戦と江戸開府
  • 二 幕府基本法の制定
  • 三 三代将軍登場
  • 四 「鎖国」は国を鎖ざしたか

第二章 元禄文化の光と影 ―前髪将軍と犬公方

  • 一 元禄文化への序奏
  • 二 綱吉政権成立前史
  • 三 八百八町と八百八橋
  • 四 徳治主義と法治主義

第三章 天下困窮と改革政治 ―正徳の治と享保改革

  • 一 家宣と家継 ―新井白石の政治力
  • 二 紀伊尾張
  • 三 享保改革断行
  • 四 「法治」国家の構想

第四章 早すぎた開国構想 ―田沼政治と寛政改革

  • 一 二つの「国益
  • 二 田沼政権の出現
  • 三 なしくずしの鎖国解体
  • 四 松平定信の登板

第五章 太平と退廃 ―大御所時代を論じて世直し一揆に及ぶ

  • 一 幕府台閣の停滞
  • 二 町人王国の出現
  • 三 経済の戦国時代
  • 四 塩賊の乱と蛮社の獄

第六章 江戸王朝の終焉 ―内憂と外患・最終ラウンドの攻防・幕府瓦解

あとがき

対談 江戸幕府の権力機構 (上山春平、野口武彦

年表

主要参考文献

[][]出だし

 「寛永の島原戦役以後殆ど二世紀の間といふものは、日本の国内に干戈の声が全く聞こえなかつた。単に内乱の跡を絶つたのみならず、一回の外戦をすら経験しなかつた。若し太平といふことが無戦争のみを意味するならば、徳川時代に於ける此の如き太平は、実に世界のレコードをなすべきものである。日本が此間(このかん)に、其文明の上に於て、莫大なる進歩をなし遂げたことは、当然と云はなければなるまい」

 ―これは名歴史家として知られる原勝郎が『足利時代と肖像画』と題して、つとに大正年間に書いた論文の冒頭である。この一節は、題名が示すとおり、足利時代、つまり室町政権の江戸時代に対する先駆性を述べるためのイントロダクションであるが、それはそっくりそのまま、本書がこれから取り上げようとしている江戸時代文明論の導入部としても通用しよう。

[][]感想

「日本文明史」の中の一巻。江戸時代の誕生から終焉までを辿った概観史。本の性格上浅くさくっと浚っているため、いつもの野口節があまり見られず消化不良。自分が歴史の専門家ではないことを再三強調されるは、あえて第三者の素人からどれほど面白い視野が描けるかを試みるとの宣言と見たが、この人の強みはあくまで、ディテールに踏み込んだときの知的興奮を誘うリズムにあり。教科書的紀伝体にうんざりしている高校生諸氏には、手垢のついた言葉を敢えて使うなら「大河ドラマ」としての江戸時代の魅力が味わえる一品かと。幕末の旗本が書いて発禁になった歴史書を案内役に使うあたりは相変わらずの手練手管。

やっぱり、この後に出版された『忠臣蔵』『荻生徂徠』のほうがずっと面白いと思うがどうでしょうか。